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「ポスト311のマーケティング」が発売:4月1日、震災後の重い空…

「ポスト3.11のマーケティング」刊行にあたって

4月1日、震災後の重い空気が沈滞する中、Digital Consulting Partners主宰の横山隆治さんと山本直人さんから、ポスト3.11のマーケティングをテーマに提言集を出さないか、とお誘いを頂きました。震災から20日間たち、津波の被害に加えて原発の状況が日々悪化して行く状況下で、テレビはACの広告ばかり、東京の夜は暗闇のように静まりかえり、経済活動が緊急停止したのではないかと思われる有り様でした。こうした時だからこそ、目の前の現象に踊らされることなく、大きな再生ビジョンを描いて日本の産業と生活者、そしてそれを繋ぐマーケティングのあり方を再考をするべきではないかと考え、共同執筆の末席に加えて頂くことといたしました。

これまで、日本はあらゆる分野において文化的な特殊論を盾に、世界との協調を避けて独自の進化を目指してきました。ある時期には「世界は日本に学ぶべきだ」と驕っていたこともありました。しかしそれは日本の経済規模が世界の2割に迫る特別な国であったから許されたことであり、それが1割にも満たない普通の国となった現在は、普通の国としての振舞い方を考えねば、経済の地盤沈下を食い止めることはできなくなっているのです。震災という想定外のショックを受けたこのタイミングに、普通の国の生き方とマーケティングのあり方をどう考えれば良いのか、私はこの視点で本書を書かせて頂きました。

こうした時代の分岐点から未踏のスペースに足を踏み入れて行くには、一人の視点ばかりでなく、多くの視点をもとに進むべき方向を定めることが大事です。実は共著とは言うものの、各章の内容は完成した本が届くまで読んでいないので、そういう意味で私自身も、私以外の7人の方々のさまざま提言を読むのを大変楽しみにしています。

最後に、4月中旬、震災によるダメージからの回復に奔走する日々にもかかわらず、私の意図をご理解いただき、快く取材に時間を割いてくださった、ソニー銀行の石井茂社長、キタムラの浜田宏幸社長には心より御礼申し上げます。


平成23年6月30日

田中義啓

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